はちみつ家　>　蜂蜜エッセイ

アカシア蜂蜜の周知を目指して

夏川遊

　　蜂蜜は一言でまとめても数多くの種類があります。その種類の豊富さの1つに蜜源の多様性があげられます。蜂蜜の味や特性は蜜源によって違っており、ミツバチは様々な植物から蜜を集めるため、地域や季節などによって味や香りが大きく異なります。
　私が初めて蜂蜜の多様性に触れたのは京都先端科学大学（当時京都学園大学）の坂本文夫教授の取り組みがきっかけでした。ニホンミツバチの生態や研究などから実際に研究室で養蜂・研究をしていてこれほどまでに多くの多様性や生態があり、とても興味深い研究でした。
　今やスーパーで簡単に入手できる蜂蜜ですが、何故こんなにも手軽に買えるようになったのか調べてみたところ原産国の中国では砂糖水を用意しミツバチに蜂蜜を作らせ効率的に蜂蜜を生産していることにたどり着きました。しかし、その蜂蜜はＧＩが高く血糖値を大きく上昇させるためダイエットなどには不向きと言われているのが現状です。
　しかし、アカシア蜂蜜はアカシアという樹木から採取される蜂蜜であり、淡い透明で穏やかな甘い風味と軽やかな味わい、花の香りといった特徴があります。様々な料理や飲料などに幅広く用いられ、また結晶化しにくい特性から他の蜂蜜よりも長期間保存できる傾向にあり、蜂蜜市場で人気の種類です。それだけではなく低アレルゲン性により多くの人に親しまれやすく消化器系にも優しいとされています。
　中国での大量生産のための蜂蜜が絶対悪いと断じたいわけではないのですが、ビタミンやミネラル、抗酸化物質や酵素などが豊富で高い栄養価を誇る蜂蜜の名を冠してスーパーでは１ｋｇなどで売られていることには少し首をかしげてしまいます。本来、希少価値の高い蜂蜜は前述の通り、多種多様な蜜源により効能や味、香りなどが大きく異なります。その蜂蜜を健康ブームなどが起きた際、これ見よがしにスーパーで売られている中国産の蜂蜜に飛びつく消費者は少なくありません。
　消費者は今よりも蜂蜜への理解を深めてより高品質の蜂蜜を摂取してほしいと常々思います。希少な蜂蜜は確かに安くありません。でもその値段はちゃんとした品質を維持して出荷量の限界も決まっているからなのだと納得して買ってほしいと望んでいます。
　砂糖水からできた蜂蜜と樹液からできる蜂蜜、おおざっぱに見れば違いはありませんがより多くの人に栄養価の違い、それゆえの価格の違いに納得し購入してもらいたいと思っています。

（完）