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第8回 蜂蜜エッセイ応募作品

おばあちゃんのハチミツ

奥家明日香

 

 ハチミツは、祖母を思い出します。
 私には敬愛する祖母がいました。
 もう亡くなってしまって10数年たちますが、祖母との思い出や、残してくれた言葉や思想は、歳を重ねれば重ねるほど、ありがたさを感じています。

 祖母は、あまり精製した砂糖を使わず、ハチミツや黒糖などで、料理を作っていました。普段料理に使うスーパーで売っているような、ハチミツとは別に、戸棚の中に高級なハチミツを隠し持っていて、風邪の時には、そのハチミツを舐めさせてくれました。それが美味しくて、美味しくて、感激!なんでもない日も祖母が戸棚の奥にしまっているハチミツを舐めたくて、せがんだものです。

 ハチミツがほしくて、喉が痛いと言うと「しょうがないわね」と、ハチミツが食べたいだけだと、分かっているのに、戸棚の高級ハチミツをティースプーン一杯だけ舐めさせてくれたのでした。

 行くたびにハチミツを欲しがったことや、唇が乾燥していれば、薄く溶いて唇に広げてくれたこと、ハチミツを口にすると広がる甘さと、香りと一緒に、おばあちゃんの指先や笑顔を思い出すのです。

 他にも風邪に効くからと、ハチミツ大根や、ハチミツ金柑、ハチミツは万能薬のようでした。子供のころは、ハチミツなんとかは苦手で、ハチミツだけ舐めさてくれないだろうかと思ったものです。

 そんな私も、今では3姉妹のママ。
 今でもハチミツ大好きで、よく食べます。
 昔ママのおばあちゃんがね、と娘たちに話して聞かせる、おばあちゃんのハチミツの思い出は、私が、おばあちゃんになっても、きっと忘れられない思い出です。

 

(完)

 

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