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第8回 蜂蜜エッセイ応募作品

はちみつと父

わかぼん

 

 亡くなった父が、焼きたての食パンにはちみつを塗って食べるのが好きでした。
 父が亡くなってから、もう4年近く。
 日常の忙しさから、父のことを思い出すのも少なくなりましたがはちみつを見て幼い頃の父を思い出しました。
 毎日忙しかった父。
 私が父と会えるのは、日曜日の朝くらいでした。
 あまり家族団らんの時間がなかった焦りなのか、日曜日は家族全員でそろって食べるということを母が決めているようでした。
 日頃疲れている父が起きてくるのは朝の10時頃。
 遅い朝食でした。
 だいたい朝食の内容は決まっていました。
 リンゴ、シーチキン、キャベツ、トマトをマヨネーズと塩こしょうで味付けしたサラダ。
 レモンの輪切りが入った、紅茶か、コーヒー。
 そして焼き立ての食パン。
 父は砂糖をたくさん食パンにつけて食べるとか、紅茶やコーヒーに食パンを浸して食べるとか、サラダに変な調味料を混ぜてしまうとか、、。
 今でいうあかん飯風をよく教えてくれました。
 変な食べ方をする父でしたが、そういえば、はちみちだけはそのまま食パンに塗って食べてたなあと思い出しました。
 変な味覚の父でも(お父さんごめん)、はちみつだけは素材だけでいいと思ってたんだなと思います。
 思い出を作ってくれたはちみつ、ありがとう。

 

(完)

 

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