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第8回 蜂蜜エッセイ応募作品

二十歳、思いを巡らせる

昆布いおり

 

 蜂蜜は、いつも私の生活の一部だったようだ。「ようだ」というのは、私はまだ齢二十歳であり、忘れてしまっている幼少期の記憶も加味すると、おそらく他の応募者より蜂蜜への思い出が少ないからだ。今回、蜂蜜エッセイという存在を知り、母親に蜂蜜にまつわる私のエピソードがないか聞いてみた。
 「蜂蜜?あんたが蜂蜜食べれるようになってからは、特に小学生頃までは毎日食べてたと思うけど」と、母親が一言。どうやら私はパンには絶対蜂蜜、ヨーグルトには絶対蜂蜜、ホットケーキや果物にも蜂蜜、でもイチゴには練乳。というような子供だったらしい。最近は食生活自体は悪くないものの、前述したような食べ物はあまり食べていなかったためすっかり忘れてしまっていた。
 この話を聞いて思い出したことがある。私はスティック状に小分けになった蜂蜜をよく使っていた。一日二本まで。そんな風に決めて毎日使っていた気がする。
 母親に聞かずとも記憶に新しいのは、高校時代、ほぼ毎日朝ごはんに、チーズトーストに蜂蜜をかけたものを食べていたことだ。私は高校時代、ちょっと精神的な理由があって昼食を食べることができなかった。でも早起きは苦手で、毎朝たくさんご飯を食べるような時間もなかったため、サクッと食べられて腹持ちの良いチーズトーストに、蜂蜜で栄養をプラスしていたのだ。蜂蜜の効いたチーズトーストはとても美味しかった。特にチーズと蜂蜜の相性が素晴らしいということを実感したため、色々なものと蜂蜜を合わせて食べてみたくなった。
 それでいろんな食べ方を試してみたが、結局一番美味しいのは、ヨーグルトに、カットしたバナナをたくさん入れて、蜂蜜をかけたものだった。結局シンプルが一番。栄養も取れるしデザートとしても最適。腹持ちも良いので、これは今でも食べている。単にヨーグルトとの相性が良いだけでなく、バナナとのカモフラージュが最高だった。
 あとは、たくさん食べたくなってしまうために、金銭的問題であまりやっていなかったのだが、そのままいただく蜂蜜もとっても美味しい。私は味覚だけは確かなようで、蜂蜜ごとのちょっとした甘さの違いとか、そういったことを感じ取れる。先日、二十歳の誕生日にたくさんお金を貰ったので、食べ比べとか久々にしてみたいな~と今思っている。
 蜂蜜に限らずだが、過去の思い出と自分の関連性を考えるのは非常に楽しい。二十歳の節目を迎えた今、色々なものに思いを巡らせるのも良いのかもしれない。
 この機会をくれた蜂蜜エッセイ公募に感謝を。

 

(完)

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