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第8回 蜂蜜エッセイ応募作品

じいちゃんと上等はちみつ

きりん

 

 私のじいちゃんは今年米寿を迎えた88歳である。そんなじいちゃんの口癖は昔から「これは上等ばい。」。食べるものや身に着けるものなど、ちょっと高価で質のいいものを好む。というのも、じいちゃんは若いころ食品会社で働いていたらしく、特に食べるものにこだわり、最近は少なくなったが、これぐらいの年齢の男性には珍しく自らキッチンに立って料理をすることもある。じいちゃんが作るカレーや鳥の手羽先のトマト煮込み、コーヒーゼリーなどは家族みんなの好物である。質のいい上等なものをおいしく食べる、それがじいちゃんの楽しみであり、長生きの秘訣であると思う。気に入ったものは全国からお取り寄せするほどのこだわりぶりである。もちろん、食べ物以外でも上等な革靴、ジャケット、布団、お皿などじいちゃんの周りは上等であふれていた。
 じいちゃんが言う上等な食べ物の中で、昔からじいちゃんが好んでいるものの一つがはちみつだ。じいちゃん家にはいつも大きなはちみつの瓶があって、じいちゃんは朝食時、パン屋で買った上等な厚切りのパンにそのはちみつを塗って食べていた。じいちゃんは「上等なはちみは、ちょっと濁ってて白く固まるとさ。これがおいしかはちみつばい。ようちゃんが家で食べよるはちみつは偽物たい。」なんて言ってくる。上等なものを自慢げに紹介してくるのはじいちゃんの癖だ。家族はまたいつもの上等自慢が始まったと受け流す。でも、確かに、じいちゃんが食べているはちみつは私が普段スーパーで買うのは違い、ちょっと濁っていて、味も香りもよい。値段も私が食べているものの何十倍もするらしい。はちみつ以外にもじいちゃんが気に入っている上等な食べ物は体によくておいしいものが多い。生産者の人がこだわって作っていたり、添加物が少ないものだったり、じいちゃんの目と舌は確からしい。
 そんな私は現在1児の母になり、家族の健康ためにせっせと食事を作る毎日だ。特に小さな息子に食べさせるものはできるだけ体にいいものがいいかと思い、様々工夫をしている。できるだけ添加物の少ない食べ物を選んだり、国産や地域で作られた野菜を使ったり、よくよく考えてみると、じいちゃんの言う上等な食べ物を私も求めていることに気が付いた。じいちゃんに似たのだろうか?まだまだじいちゃんには及ばないけど…。息子もはちみつが食べられる年齢になったので、じいちゃんの上等はちみつを食べさせてあげようかななんて思っている。

 

(完)

 

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